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2023年06月23日

同窓研修会

同窓研修会 講座実施報告「もっと知りたい植物園」

同窓研修会:講座<もっと知りたい植物園>実施報告

植物園20230526.pdf

日  時: 令和5年5月26日(金) 午前10時から12時 

場  所: 京都府立植物園  京都市左京区下鴨半木町

講  師: 京都府立植物園 技術課 技術課長 平塚 健一 氏

京都府立植物園公認ガイド 鈴江  登 氏  谷口  節 氏            柴田 雅代 氏  

受講者数: 43人  

(報告)  前日の雨が、新緑を美しく輝かせ、初夏の季節にしか目にすることが出来ない様々な緑の色の美しさに目を奪われた。曇り空であったので穏やかな空気がただよい、さわやかな気持ちで講座を開始した。 以下、講義内容を記述する。

1. 京都府立植物園の歴史 大正2年に大典記念京都博覧会の用地として33万5千㎡を用地買収したが、予算の工面が出来ず、博覧会中止になり、その地に大正3年、三井家から25万円の寄付を受け植物園設置に動き出した。その後、三井家から30万円の追加寄付があり、大正13年(1924年)1月1日有料開園した。 来年の2024年には、開園100周年を迎えることとなる。  この間には、昭和21年から12年間連合軍に接収され、25,000本あった木が6,000本まで減り、惜しまれた時期もあるが、現在は多種多様な種を展示し、12,000種類、10万本の植物が存在している。その歴史の様を第2代園長が中国から持ち帰り植えた大芝生地のシダレエンジュやクスノキ並木のクスノキ、三井家の庭から移植されたハナノキの木々がみているのである。

2. 京都府立植物園の役割  植物園の定義は、「植物は、収集、保存して学術研究を行う施設であり、それらの植物を展示、公開することにより植物多様性とその保全、植物学及び自然環境教育、植物学を活かした産業の発展に資する機関である。(平成16年9月社団法人日本植物園協会)この定義の内容は、開園当初から実施されてきたことでもあり、ゆるぎない指針として現在も京都府立植物条例にも反映され運営されている。  多種多様な品種を展示する一つの例として、サクラの展示がある。一品種の個体数は少なめで、180品種500本の桜がある。桜の開花の頃は圧巻の景色で、薄桃色の桜の波が幾重にも続く。その中の一種、彬姫桜は、終戦後の荒廃した京都市内の宅地の庭に咲いていた桜を桜守の佐野藤右衛門氏が持ち帰り、実生から育て植物園に植栽した佐野さんとの繋がりがある桜もある。

3. 京都府立植物園の多様性保全  きょうと生物多様性について  地球温暖化の影響で、植物園も様々な変化が見られる。花の開花が早くなる。冬に今までにない雪が降り積もる。寒暖の変化は、植物にも影響し、環境の変化に適応できない植物が増えてくる危険性がある。又、森林の伐採や乱獲など人間が関与して絶滅していくものが80%もある。生き物や生態系の豊かさを保持するために森林、河川、農地などの生態系の多様性、様々な生物種が存在する種の多様性、種内の地域差や個体差を守る遺伝子の多様性 を考える事が必要である。現在、オール京都が連携し生物多様性を考える取り組みが進められている。植物園に本部オフィスを置き、各所連携しながら生物多様性保全を推進する。 又、日本に自生する植物は7,000種その内の日本固有種は2,900種、その中で絶滅危惧種は1,786種、およそ1/4ある。植物園内でも絶滅危惧種を300種保有しているが、将来的には500種を目標に取り組みたい。 植物が、生存している証になるものが植物標本である。学名 採集日、採集地、採集者などを記載し、保存しておくことが植物園としての役割にある。

4. これからの植物園 次の100年に向けた京都府立植物園像  将来ビジョン     植物が生態系にもたらす役割を伝え、未来の種をまく植物園として、京都から、世界の生物多様性保全に貢献する。    

コンセプト(基本方針)     

誰もが楽しく学べる「学びの入口」として学習機能を強化     

京都府内の植生把握等を通じた植物多様性保全への寄与    

取り組むべき内容     

これまでの府民の憩いの場の機能に加えて、博物館機能を拡大     

次代を担う子供たちや若い世代に向けの魅力を拡大     

植物多様性保全に関する研究機能を拡大 以上 講座から様々な学びをすることが出来た。植物園は、生きた植物の博物館としての存在であり、府民の憩いの場として、植物を鑑賞しながら一般教養を資する場として、又、植物学の研究に寄与する場として存在することを深く印象付けられた講座であった。                

文責 京都SKYシニア大学同窓研修会                     理事  岩本 照美