2023年11月02日
同窓研修会
講座 <秋の草花巡り> 京都府立植物園
日 時: 令和5年10月27日(金)
午前 10時から11時30分 / 午後 1時から2時30分
場 所: 京都府立植物園
講 師: 京都府立植物園公認ガイド 青木 壽子 氏
受講者数: 午前 22人 午後 20人
(報告)
数日前より、講座当日に傘マークが・・秋晴れが続く中、なぜこの日だけと案じながら当日を迎えたが、雲間からの朝日に一安心し会場に向かった。
植物園北山門を入ると、コスモスが満開、あまりの美しさに受講者の顔も和み、雲間から差し込む秋の日差しに良かったと安堵の表情をうかがうことが出来た。 今年は、夏の暑さが長く続き、紅葉も少し先延ばしの感があるが、枝先などを見ると少しずつ秋色に変化し、季節の移り変わりを感じることが出来た。
先ずは、満開のコスモスのガイドからスタート、そして、ワイルドガーデンへ、フウセントウワタ、ホウキギ、レオノティス、エンジェルトランペットそして、東側塀沿いのイチゴノキ、ヤナギ、竹林に場所を変えて、今注目の牧野富太郎氏が命名のスエコザサへと、針葉樹林の通路に入り、芳しい香りのカツラノキやシナノアブラギリ、名前に驚くバクチノキへと・・
針葉樹林帯では、カヤ、イチイのさわやかな針葉樹特有の香りをかぎ、青木さん持参のカヤの実をさわり、その芳香に感嘆の声が「癒されるね」と、皆の表情が変わる様子が見られた。
小休止も兼ねて、シュウメイギクとキブネギクの鑑賞をする。菊と名がつくが キンポウゲの仲間、キクとの葉の違いを見る。ひと心地付いたところで、四季彩の丘へとピンク色に染まったアケビに驚きの声が、サネカヅラ、キビ、ワタ、食用菊、など、名前をよく聞く草花を間近に見て、これが!!なるほどと納得の声がでる。そして、通路沿いに咲く子福桜(コブクザクラ)へとめしべや実のつき方に合わせた名の由来を聞いて、先人の人たちの豊かな感性を感じ取ることが出来た。
さて、次は、中国原産の植物へ、トチュウの木での種あそび、伸びる糸に驚嘆の声があがる。そして、目の前に房状に鮮やかな色で垂れさがるオオモクゲンジに見とれながら、最後のステージの古典菊へ向かう。嵯峨菊の背の高さは、御殿の位置からよく見えるように仕立てたもののようで、下の段から七、五、三と花が咲くように仕立てるそうだ。今は、蕾だが美しく咲く日本古来の菊に思いを寄せて講座を終了することになった。
午後は、雷鳴を聞きながら黒雲が迫る空を仰ぎ、終えることになったが、何とか雨にも合わず充実した内容の植物の説明に満足した気持ちであったのではと皆さんの表情から感じ取れるものがあった。
ガイドの青木さんからも説明があったが、人は、太古の時代から植物の生命力の恩恵を受けながら、生きてきた経緯がある。では、何パーセントの影響かというと99.7%だといわれている。植物なくては、人の進化はなかったといっても過言ではない。講座の中で様々な植物と人とのかかわりを説明いただく中で、納得できたような気がした。植物に対して慈しみを持ちながら接していくと又、植物を見る目や感じ方も変わるのではないかと思えた。
以下、ガイドされた植物の説明内容を記述する。
コスモス(秋桜):メキシコ原産 キバナコスモスは種が異なる。
レオノティス:シソ科 シソ科植物の茎は四角い。ライオンの耳のような花
エンジェルトランペット:ナス科 チョウセンアサガオの仲間であるが別種 <華岡青洲が使った麻酔薬は毒性のあるチョウセンアサガオから精製した>
トケイソウ:500種程ある中の一つ アメリカ原産で赤い花が咲く。
フウセントウワタ:南アフリカ原産 風船のような実 綿状の種 風媒花
ヤナギ:樹皮に鎮痛作用のあるサルチル酸があり、古代より鎮痛薬として使用されていた。現在もアスピリンとして薬に使われている。
イチゴノキ:地中海原産 イチゴのような実であるが、イチゴほどおいしくはない。秋にアセビのような花が咲き、翌年の秋に実がなるため、秋に花と実が鑑賞できる。
スエコザサ:葉の表面に白い毛が生え、縁が内側に巻き込むのが特徴。牧野富太郎が仙台市で発見、研究を支えた妻の名前を学名にした。
カツラ:乾燥した葉から放出されるキャラメルのような甘い香りがする。カツラの木は、古事記、海彦山彦の家の井戸の傍にあったと記述されていることからも古代より日本に現存していた。水辺を好む。歳時には、身を清める意味でカツラの枝を身に着ける習慣もあった。(葵祭に衣装に着ける)
シナノアブラギ:良質の油ではないが実を絞り、工芸用の油をとることが出来る。和紙に塗って油紙にする。
バクチノキ:身ぐるみをはがれるように樹皮を剥がすことから命名された。学名である。バラ科で秋に開花する。茎で光合成をする。春には樹皮の色が山吹色になる。緑色の樹液が出る。葉柄の上部にバラ科特有の密線がある。
ヤマハギ:丸葉で直立する樹形、サミダレハギ、ミヤギノハギは枝垂れる。
カヤ:芳香 針葉樹特有の爽やかな香りがする。葉先は鋭利で触ると痛い。ナッツのような実がなる(食用)小野小町とカヤの実の話は有名である。
シュウメイギク:キンポウゲの仲間で菊ではない。
キブネギク:貴船に自生しているキンポウゲの仲間
サネカヅラ:リンス代わりに使っていたといわれるが良いにおいではない。
トウゴマ ナタマメ 食用菊 キビ 綿:食用や薬用、様々な用途として栽培されている。
コフクサクラ(子福桜)めしべが二つあるため、実が二つできることから子宝に恵まれるという意味で、子福桜と命名された。
トチュウ:漢方薬として強壮に使われる。杜仲茶として名が知れている。樹液は、ゴム製の物質を含みグッタペルカやガム、天然ゴムの原料となる。
オオモクゲンジ:袋状の実を房のようにつける。赤みがかかった房 高木
サトウカエデ:カナダでは4月から5月に1本の木から1リットルのメイプルシロップを採る。
ナツメ:果実は食用にされる。
パパイヤ:メキシコ南部西インド諸島原産
サガギク:古典菊の:一種 嵯峨天皇の時代に大覚寺で品種改良、天皇が御殿から見やすいように高く作り、下から七、五、三と花の数をつけるように仕立てる。
午前 受講の皆さん
午後 受講の皆さん
満開のコスモスがお出迎え
トチュウの実から糸が・・・
スエコザサ ・・・ 牧野富太郎が発見、妻の名前を学名に
文:岩本照美